大人の身嗜み

ウルワツタイガーのブランドとしての起源は、STORYに出てくるコカロットとの出逢いにある。旅先で出逢い、友人としての付き合いはもう八年となった。

互いの挑戦に、肯定も否定もせず、異国のご飯を囲んで過ごした時間はウルワツタイガーというブランドを形成するのに大切な学びの時間であった。

今日はその学びの中核であり、ブランドのテーマでもある「大人の身嗜み」について話したい。


何かを大きく変えたい時に、見た目というのはインパクトが大きい。

見た目。

例えば、前髪を1mm間違って切ってしまっただけ、眉毛を1mm間違って剃ってしまっただけでも、その人の世界観は大きく変わってしまう。

好きな服を着て出掛けた日は最高の1日が始まる気がするし、
新しいシャツを着て出掛ける日は心の景色がどこか透き通った気がして自信を持った笑顔になる。

綺麗な靴で出かけると足が軽く感じるし、
カバンを褒められると自分のセンスが褒められたようで、まるで衣服に喜怒哀楽を握られているようだ。


そんな「身嗜み」にはもう二つの対角的な視点がある。

一緒にいる人から見た視点。

それが、家族でも友人でも恋人でも、はたまた仕事上の取引先の人でも。
一緒にいる人が綺麗な格好をしていたら何だか自分を認めてもらったようで誇らしくなる。

第三者から見た視点。

それが、家族でも友人でも恋人でも、はたまた仕事上の取引先の人でも、
綺麗な格好をしているだけで信頼出来る気がする。


人生と言うと大袈裟かもしれないが、誰もが重ねる日常というストーリーを歩んでゆく中で、身嗜みというのは物事をうまく運ぶ攻略方法の一つだ。


ここで話を戻すと、コカロットから学びの一つは
身嗜みの持つ力だった。

モノが溢れている時代。

彼にとってのモノを選ぶ判断基準が「身嗜み」であり、その理由は一緒にいる人を幸せにする為であったことに気づいた時。美しい世界が鳥肌のように全身に広がり足が震えた感覚を今でも覚えている。

ウルワツタイガーは、ブランドのストーリーとして「身嗜み」があらすじであり、いわゆる経年変化を楽しむカバンではない。身嗜みが整う、誰もが共感出来る美しさを目指して製作している。

そして、ウルワツタイガーの鞄を通じ、持つ本人だけでなく、その周りの人が幸せになると考えたら、もしかしたら変態なのかもしれないが、嬉しくて、何だか楽しくて仕方なくなって、遂には製作に妥協という選択肢が無くなるほど熱中してしまう。

鞄作りの面白さの本質はここにある。


執筆者:代表JP