【Q&A】PUレザー(ポリウレタン樹脂)の特徴と比較。

【質問】
ウルワツタイガーの説明文で出てくるPUレザーについて教えてください。


国境を越え3000社以上の生地屋に実際に足を運び生地の研究を行った私が、PUレザーのメリットとデメリットを紹介します。

概要
PUレザーのPUはポリウレタンの略です。 染料・無機化学製品・窒素・写真製品を取り扱うドイツのIGファルベン社で1930年代に最初に実用化された技術で、90年の歴史があります。似たような素材にPVCレザーがあり混合されてしまうこともありますが、性質から全く異なる素材です。

特徴
PUレザーの特徴として、しなやかな強さと肌のような質感があり、PVCなど天然皮革に近いレザー素材の中では最高級にあたる素材生地です。通気性があり撥水性も高いので、ドイツと同様に、四季のある日本の気候に合う素材として鞄やソファーに適しています。

メリット
撥水性が高く染みに強いメンテナンスフリー素材
・四季がある日本に適した扱いやすい生地
・本革に比べると30%〜50%軽量
・同価格であれば安価な本革よりも品質が高い場合が多い
・動物性ではないビーガンレザー

デメリット
・水を弾く性質がありますが、極端に湿度の高い場所での使用は水分と化学反応を起こし加水分解してしまう場合があります。
・PUレザーは本革に比べると素材の価格幅が広く、安い物はレザーに劣ります。
・本革のように一生は使えません。
・本革のような経年変化はありません。
 
 
後述
横浜は乗合馬車の発祥であり、馬車道と呼ばれる通りがあります。
関内の桜木町寄りに位置するこの道路は幕末に開港したことから始まり、慶応3年に馬車を通すために整備された道が、今日の「馬車道」の始まりです。この時代の馬車の馬を操る使用人のシートは布製であることが定番でした。つまり、当時は布の方が高級だったというのが本来のルーツだったりします。

しかし、繊維の性能が良くなり、布は機能性と価格を両立出来る代物になりました。その一方で、本革の希少性や独特の風合いが珍重されるようになり、本革を用いることが高級の証という逆転現象が起こったのです。

とはいえ、本革は天然素材ですから、馬車のように手厚いケアを怠るとせっかくの風合いもに硬化、ヒビ割れなどを起こし無残な結果になることも。天然素材である本革の風合いを保つためには、使い手自身が、相応に知識とメンテナンスの時間を求められる代物となっているのです。

最近では、鞄以外の業界である国産高級車界隈でも、PUレザーを使用する車種が増えてきました。日産シーマでは、ネオソフィールというPUレザーとジャカード織物のミックスシートです。

高級車のインテリアにこそ、同じレザーであるならPUレザーの方が適しているという考えは、ずいぶん前からあったといいます。しかし、やはりそこはユーザー心理として、どうしてもPUレザーは安っぽいというイメージを持たれるのでは?と考えられていました。
ところが最近では素材の改良も進んで、本革とは何度見ても分からないような美しい高級素材まで登場しています。

PUレザーは合成皮革とも表現され、安くて壊れやすいイメージを持つ方も多いですが、国産高級車やブランド物の鞄に多用される丈夫な生地です。

PUレザーを生地として鞄に使用するには、レザー同等の予算感でプレミアム生地の買い付けを行い、販売前商品を保管する倉庫の湿度管理を厳重に行う必要があります。

ウルワツタイガーの保管庫では、独自の研究で得られた湿度管理知識のもと、業務用の除湿機を5台設備しました。これによって経年変化を最小限にし最良の状態でお客さまの元へ商品をお届けしております。
おそらく鞄会社でここまで湿度管理にこだわっている会社は無いのではないかと思います。
 
 
P.S
余談ですが、高級鞄で有名なルイヴィトンのモノグラム生地は、エジプトの綿素材の上にPVCレザーをコーティングしています。PVCレザーと言えば一般的にPUレザーよりも劣ると言われていますので、事実ルイヴィトンが品質が高い鞄であることを考えると、生地の種別だけで高品質かどうかと言う議論は実はあまり意味をなし得ません。

最後は生地の種別ではなく、欲しいデザインでPU、PVC、本革のプレミアムな生地の鞄を選ぶことが最善と言えます。ウルワツタイガーはこの中でPUレザーのプレミアム生地を選択して鞄作りを行なっています。